旭川ノルディックウォーキングクラブ
設立10周年記念
ノルディックウォーキング発祥の地
フィンランド視察

2018年9月28日-10月6日

ANWCフィンランド視察旅行
団長 加藤 英二

はじめに、 2018年10月4日、フィンランドの首都ヘルシンキ郊外にあるセントラルパーク北端の森のコースを歩いた時の動画を紹介します。


視察報告 本文

ノルディックウォーキング発祥の地フィランドで最初に訪れたのはフィンランド中部のスポーツ・レクリエーション都市のヴォカティでした。

9月29日の午前中は、冬季はクロスカントリーにコースになる10数kmにも及ぶウッドチップが敷かれた森の中のコースをノルディックウォーキングで歩きました。コースの途中ではウォーキングやノルディックウォーキングのグループや家族、ランニングの若者、マウンテンバイクで疾走している人など多くの人に出会いました。後で地元の人から聞いたことですが、フィンランドでは子どもがテレビゲーム等で外に出なくなったので、「子どもを森に連れて行こう」というキャンペーンがあるということです。

午後はクロスカントリースキーのトレーニングがフルシーズンで出来る「スキートンネル」を見学しました。コースは高低差のある長さ1.25キロメートルの往復コースになっており、トレーニング中の男女が滑走中でしたし、数人の子ども達がコーチのもとでトレーニングを始めるところでした。

また、宿泊したホテルはアルペンスキー場の横にあり、リフト、降雪機等が充実していました。さらに初心者・初級者の為のドームの屋根で覆われたスノーエスカレーターが2基(100mと50m位) あり、ノーマルヒルのジャンプ台も有りました。

9月30日はウォーキングコースの中間にあるコタと呼ばれる休憩・避難小屋に行き、焚火を焚いてソーセージやジャガイモのパイを焼いてアウトドアの食事を楽しみました。ここは誰でも自由に利用でき、薪を割り火をおこすというアウトドアライフを経験できる無人の施設で、週末には多くの家族連れで賑わうそうです。

”コッコ”は”焚き火”、”マッカラ”は”ソーセージ”を意味し、ソーセージが大好物のフィンランド人は日常的にソーセージを枝に刺して焚き火で炙って食べる習慣があるとのことです。なかでも、夏至の日に行われるお祭り”夏至祭”では太陽が沈まない白夜に一日中太陽の光を浴びながら、大きな焚き火を囲み、みんなでソーセージを食べビールを飲んで楽しむそうです。マッカラは冬でもキャンプファイヤーには欠かせない一品で、スーパーには、大きさや種類豊富なマッカラがずらりと並んでいました。

ヴォカティは多くのスポーツ・レクリエーション施設の他に、スポーツ研究所や大学のスポーツ研究施設、スポーツ合宿施設等があり、シーズンを通してスポーツ・レクリエーションを親しめる施設やアクティビティが充実していました。

10月1日はヴォカティから列車でユヴァスキュラに移動し、まず訪れたのはユヴァスキュラ大学でした。ユヴァスキュラ大学では校内を見学のあとスポーツ科学学部副学部長のミルヤ・ヒルベンサロ教授による「フィンランドの健康推進―幸せな老い―」についてのレクチャーを聞きました。「幸せな老年期」を迎える為に先進的な取組みを健康科学の面から実証しているユヴァスキュラ大学の研究は、私たちが今まで行って来たノルディックウォーキングの運動効果を実証する上でも非常に価値のあるものでした。

ユヴァスキュラでは郊外のペタヤベシにある農家を改造した宿(ファームイン)が経営しているコテージに宿泊しました。食事はこの畑で栽培した有機栽培の野菜が中心で、最近のフィンランド人の健康志向ブームが伺われました。各コテージには薪ストーブのサウナが付いており、森と湖に囲まれていて、夏季には湖でボートや釣り、水泳などを楽しむことができるので、とくに自然の中でゆったりとした時間を過ごしたい都会の人々に人気だそうです。

10月2日はファームインから約1.5Kmのところにある世界遺産に登録されている古い木造の教会へノルディックウォーキングで行きました。

教会を見学した後、国際雪像・氷像協会会長のユハニ・リルベリ氏の家を訪問しました。この家と敷地は農家を買って改造したもので、ユハニ氏の彫刻などの芸術作品の野外展示場でもありました。
ユハニ夫妻とコテージの方に案内された森の中でのキノコ採りや湖畔でのベリー摘みはフィンランドで最もポピュラーな自然の中での生活文化といえるでしょう。

森と湖に囲まれた自然の中にはビタミン豊富なスーパーフードがたくさんあります。白夜の夏に熟れる野菜や果物、特にベリー類は小粒のものが多いようですが甘みやビタミン、フラボノ成分が凝縮されているといわれています。フィンランドの広大な森には何種類ものベリーやキノコ、新鮮なハーブなどが育っていて、いろいろな料理に活用されています。

フィンランドでとれるキノコの種類は豊富で、キノコ狩り天国ともいわれています。キノコには人に不可欠なミネラル、プロテイン、ビタミンそして繊維質が豊かに含まれているので、健康づくりには欠かせない食材です。私たちが採ったキノコはファームインでクラムチャウダーに調理して食卓に出してくれました。

また、クランベリー摘みにも挑戦しました。このクランベリーは寒さに強く“冬の雪の下でも採れることもある強いベリー”とのことでした。ビタミンCも多く含みジャムにして肉料理のソースとして添えて食べるのがフィンランド風のようです。

ベリー類は冷凍させて、長く寒い冬の間の貴重なビタミン源として保存し、朝食のヨーグルトやパンケーキとともに、きのこ類は乾燥させて、スープなどにして食べるようです。冬の間はスーパーでも新鮮な野菜や果物が限られてくるため、健康を守るための工夫が食文化の一つとして息づいていました。

フィンランドでは特別な保護地域を除いて、誰でもどこの森にも入ることができるそうです。人口に比例して森が多いからこそ許されることかもしれません。

しかし「野生のベリーやキノコは採取してよいが、他人が所有する木から果実を摘んではいけない。カヌーやキャンプをしてもよいが、人の家に近すぎる場所であってはいけない。ほとんどの場所で、釣りをするには許可証が必要。ごみは持ち帰ること。訪れた場所の自然の状態をそのままに保つこと。」など、自然を大切にする基本的なマナー・ルールが存在するようです。

10月3日はユヴァスキュラから首都ヘルシンキに列車で移動しました。

10月4日の午前中は、ヘルシンキ中央駅近くのセントラルパーク南端の入り江の周囲をノルディックウォーキングで歩きました。ここはオリンピックスタジアムの近く、市中心部の公園でフィンランドレクリエーション協会主催のノルディックウォーキングイベントが開催されたところでもあります。市民の憩いの場であるとともに、ウォーキングやノルディックウォーキング、ジョギングを楽しむ多くの市民に出会うことができました。

午後はノルディックウォーキングの父と言われているフィンランドレクリエーション協会のツゥオモ・ヤントゥネン氏に、セントラルパーク北端の森のコースを案内していただきました。

この地域はヘルシンキ市と空港のあるヴァンタ市の境界にある自然豊かなスポーツ・レクリエーションの森で、ウォーキングやノルディックウォーキング、ジョギング、ランニングは勿論、オリエンテーリング、ローラースケート、マウンテンバイク、乗馬、ゴルフなどのコースがあり、ウォールクライミング、木製のトレーニング用具などの施設・用具も設置されています。またコースの一部は夜間照明が完備されています。積雪期にはウォーキングコースはクロスカントリーコースになります。

ツゥオモ氏によると1988年1月5日にこの地でクロスカントリースキーのイベントがあったときに雪が解けてスキーができず、ストックをもって歩いたことがノルディックウォーキングの最初だったということです。

ウォーキング、ノルディックウォーキング、ジョギング、ランニングのコースは、細かいウッドチップが敷き詰められており、脚、膝、腰にやさしくとても歩きやすく感じました。コースの所々に休憩用のベンチや東屋が設置されており、自然保護地域や国際見本林もありました。

コースは全般的に平坦でしたが、コース途中には、アスリートがトレーニングするような急坂や階段もありました。
この日はウィークディでしたが、夕方近くになるとぞくぞくと市民が訪れ、乳母車を押して散歩する姿も見かけました。秋から冬にかけて夜が長く暗い北国では、コースの夜間照明は欠かせないと思いました。

フィンランドレクリエーション協会(Suomen Latu) は当初クロスカントリースキーとノルディックウォークのみでしたが、現在は20種類ものアクティビティを展開しています。そして 「老若男女問わず、出来るだけ多くの人を家から外に出す」ということを目的の一つとしています。

北海道はフィンランドと地理的環境が酷似しており、自然環境を健康素材として活用し、生活者の健康維持や増進を図り地域活性化に結び付けている、フィンランドのヘルスケアの取り組みはとても参考になりました。

フィンランドではノルディックウォーキングやウォーキングの愛好家が多く、自然環境+運動の保健的作用の潜在力も感じましたし、森と湖とサウナを併用したバカンスも積極的休養法となり、メンタルヘルスの上でも大きな効用となると思われます。この視察から学んだことを生かし、ノルディックウォーキングの普及を通して北海道の豊富な自然資源を活用した効果的な健康づくりを検討していきたいと思います。

【視察団メンバー】
団 長      加藤英二
コーディネーター 速水 修
アドバイザー   伊藤俊弘
団員 加藤誠子・坂本 幸・岩原満子・長岡民子・及川眞智子・浅井惠子・谷越久美子